短編小説:ありのママ【美姫さんvs尊敬】

短編小説:ありのママ

美姫さんvs尊敬

 

学校で自分が尊敬する人を書くというのものがあった。

僕は、【お父さん】と書いた。

 

家に帰ってから、ふと美姫さんに聞いてみた。

「美姫さんの尊敬する人って誰?。」と僕。

 

「尊敬する人ね…。」と美姫さんは、しばらく考えて「虫かな?」と言った。

 

「えっ?人じゃないの。」と僕が言うと

「だって、人は尊敬出来ないんだもん。」と美姫さん。

 

「なんで?」と僕が聞くと

「差別するじゃん。」と美姫さん。

 

「いや、差別しない人もいるでしょう。」と僕が言うと

「いや、みんな差別する。今まで対等に人に接してる人を見た事がない。」と美姫さん。

そして「虫は、人に対して平等だし、自由。」と言った。

 

「でも、美姫さん、虫は嫌いでしょ。」と僕が言うと*1

「嫌いと尊敬は別だよ。尊敬してるけど、大嫌い。」と美姫さん。

 

大嫌いで尊敬ってなんだ?

 

「尊敬って、その人みたいになりたいってのもあるんじゃない?。」と僕が言うと

「えーっ、じゃあ、虫は却下。虫にはなりたくないし。うーん?なりたいものでね……」と美姫さんはまた考え出した。

 

 

そして「あっ、空気!空気は誰に対しても平等だし。辛い時も楽しい時もいつも一緒にいてくれる。それに空気は悪さしないじゃん。」と言い出した。

 

「で、ショウは誰を尊敬してるの?」と美姫さん。

「お父さんだよ。」と僕が言うと美姫さんが「ショウは、こうちゃんみたいになりたいの?」と聞いてきた。

 

「お父さんみたいになりたい???うーん。どちらかといえば、美姫さんみたいになりたいかも……。」と僕が言うと

 

「じゃぁ、ショウの尊敬する人って私じゃん。」と美姫さんがニヤリと笑う。

 

僕は慌てて“尊敬”の意味を調べた。

 

尊敬 : 他人の事を敬う事

(明鏡国語辞書より)

 

 

なぜか、ホッとした。

 

 

 おしまい