ありのママ 【美姫さんの成長】

美姫さんの成長

 

美姫さんは、よく自分を褒める。

 

「さっすが~、私。」とか「今日も私は頑張りました。」とか独り言のように言っている。聞いているこっちは、とてもオカシイ。

 

「美姫さん、なんで自分で自分を褒めるの?。もしかして、褒めてくれる人がいないから?。」と僕が聞くと「だって、自分が一番自分の事がわかってるじゃない。自分が頑張ったって事を一番知っているのは自分でしょ。人には、私が頑張った事なんか分からないでしょ。」と美姫さん。

 

よく、意味は分からない。

 

「でも、なんで褒めるの?」と僕が聞くと「人は、褒められて成長する生き物なんだよ。だから、成長するために褒めないと。」と美姫さん。

 

「美姫さんは、もう成長しないでしょ。」とぼくが言うと「何言ってるの?。ちゃんと成長しているよ。ほら、見て目元に【シワ】が出来て来たでしょ。」と美姫さんは、自分の目元の【シワ】を嬉しそうに僕に見せてくれた。

 

「それって、成長じゃなくて【老化】じゃないの?」と僕が言うと「立派な成長だよ。だって、成長するから歳をとるんでしょ。そしたら【老化】も立派な成長じゃない?」と美姫さんは言った。

 

【老化】が成長?。意味が分からない。

 

「でも、みんな【シミ】とか【シワ】とか嫌がるじゃん。」と僕。

 

「それは、その人が『もう、成長したくありません。このままでいいです。』って言っているだけじゃない?」と美姫さんは言い、「そういう人は、『綺麗ですね~』とか褒めちゃダメだよ。成長したくないんだからね。褒めると成長しちゃうから。」と美姫さんは言った。

 

「テレビのCMで、『シミが消える』って言ってるのは?」と僕が聞くと「それは、“退行”だね。成長の反対。どんどん幼稚化していくんだよ。」

 

 なんか違う気がする。

 

「じゃぁ、美姫さんは【シミ】も【シワ】も出来てもいいの?」と僕が聞くと「当り前じゃない。成長の証だからね。」と美姫さん。

 

 

 

世の中広しといえども【シミ】と【シワ】と【老化】を成長だと喜んでいるのは、美姫さんだけだろう。

 

 

おしまい