短編小説 ありのママ

仕事はじめました。

第193話 お兄ちゃんvs仕事

お兄ちゃんが数日前から仕事を始めたようだ。

勉強をしないといけないから、家で出来る仕事みたい。

アラームで呼び出され、パソコンでちょこちょこやっているみたいだ。

「お兄ちゃん、何のお仕事始めたの?」と僕が聞く。

「あぁ、それな。ほら【代行サービス】ってのが流行っていただろう?兄ちゃんがやっているのは“snsの代行サービス”だよ。」とお兄ちゃん。

僕が意味が分からず首をかしげていると

「簡単にいえば、依頼人のsnsの投稿や返信を兄ちゃんが代わりにするってやつだな。大事な用事だけ依頼人に伝えるんだよ。」とお兄ちゃん。

それって、もうお兄ちゃんのsnsじゃないのかな?と僕は思ってしまう。

「他人に代わって返事を書くって大変じゃないの?」と僕が聞くと

「大体のイメージは教えてもらっているからな。魔法の言葉も知ってるし。あとは“おはよう”と“おやすみ”の挨拶と相手からの返信だけで良いって人もいるから、そんなに大変じゃないぞ。なにせ、兄ちゃんは“おはよう”と“おやすみ”は、一斉に送信できるようにしたからな。」とニヤリと笑った。

魔法の言葉って何だろう……。僕は「魔法の言葉ってなに?」と聞く。

「おう。ショウも使えるから覚えてた方がいいぞ。『そだねー』って言うと大概の話は通じる。」とお兄ちゃん。

その言葉、美姫さんが興味のない話の時の相槌に使っているけど……。

そんな事は口が裂けても言えない。僕は、にっこりと微笑んだ。

それから数日、依頼も徐々に増えてきているようだ。

「“おはよう”の一斉送信~っと。」とお兄ちゃんがボタンをポチッとした時、
『ピロリロン~』と受信を知らせるアラーム音が同時に4つ聞こえた。

僕とお兄ちゃんは顔を見合わせる。

お兄ちゃんが、アラーム音の鳴ったsnsの画面を開く。

そこには、お兄ちゃんが送った

“おはよう~。今日はいい天気だね。みんな今日も頑張ろうね!”

という文言があった。

僕とお兄ちゃんはもう一度顔を見合わせた。

どうやら、依頼主のsnsの相手も依頼主。お兄ちゃんが投稿するとお兄ちゃんに依頼主が投稿したよって連絡がくる。それが4件あるみたい。そしてなんと4件は、同じグループだった。

「人との付き合いって大変なんだな。」とお兄ちゃんがボソリと言った。

美姫さんに教えると大大大爆笑ののち、「1人しりとりが出来るじゃん。」と喜んでいた。

世の中、不思議な事が沢山だ。

おしまい

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