短編小説 ありのママ

卒業アルバムの写真の撮り方

第98話 美姫さんvs卒業アルバム

「ショウ。もうすぐ卒業アルバムの写真撮影だな。散髪に行くか?」とお父さんが、僕の学校の行事予定表を見ながら言った。

「このままでいいかなぁ~。」と僕が言うと「そうだな。直前に散髪して失敗するのもなぁ。」とお父さん。

「そういえば、お父さんの卒業アルバムって家にあるの?」と僕が聞く。

「あるぞー。見るか?」とお父さんは言い、家の奥にある納戸に行き4冊の卒業アルバムを持ってきた。

幼稚園から高校生までの卒業アルバムだった。

「どれから見るか?」とお父さん。

僕は、幼稚園のアルバムを取り出し、お父さんと一緒に見始める。

「わぁ。お父さんが小さい。」と僕は感激する。そこには、今のお父さんからは想像もつかない、子どもが写っていた。

「じゃぁ、次は小学校かな?。」と僕は小学校のアルバムを見る。

「あっ。お父さん。」と僕。さっきの写真よりはだいぶしっかりしている。今の僕と同じ年だ。変な気分だ。

「美姫さんは?同じクラス?」と僕が聞くと

「あぁ、でも美姫さんはアルバムには映ってないよ。」とお父さん。

「あれ?学校の同級生じゃないの?」と僕が聞くと「そうなんだけどな。美姫さん卒業アルバムに写りたくなかったらしく、写真撮影の日はことごとく休んでいたり、逃げたりしてたんだよ。」とお父さん。

「逃げる?」と僕は聞き返す「『写真撮る〜』って先生が言うと、身体の調子が悪くなるらしく、早退してた。」とお父さん。

「また何で、アルバムに写りたがらなかったの?記念になるのに。」と僕が言うと

「美姫さんな、『私が将来犯罪者になったら、卒業アルバムの写真が使われるかもしれないんだよ。で、ニュースに写った映像をみて、みんなにあーだこーだ言われるんだよ。そんなの耐えられない。』って言ってた。」とお父さん。

美姫さん、犯罪者になるつもりだったの?

「中学校も?」と僕が聞くと「中学校は、おかしくてな。えっと……。」とお父さんがいい、ペラペラと中学校の卒業アルバムをめくりだした。

そして「ほら。これ美姫さん。」と僕に指さした。

確かに名前のところは【斉藤美姫】って書いてある……が、写真をよく見ると……“広瀬さん”だった。

僕は笑ってしまう。

「これってどういう事?」と僕が聞くと「中学校でもアルバム撮影の日は逃げてたんだ。でもな、先生が写真を持ってこいって言ってな。美姫さんは広瀬さんの写真を持っていったんだよ。」とお父さん。

「えっ?」とさらに僕が聞くと

「それに気づいたのが、アルバムが完成して配られてからだったからな。もう、しょうがないって事で、落ち着いたんだ。」とお父さん。

後で美姫さんに「美姫さん、犯罪者になるつもりだったの?」と僕が聞くと「そんなのわからないじゃない。想定外はちゃんと考えなくちゃ。」と美姫さん。

何故だろう……。今回は想定外って気がしないのは。

おわり

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