第123話 美姫さんの担当
家事分担が主流だという。
僕の家の家事は、ほとんどお父さんがしている。
そろそろ、僕も家事を手伝おうと思い、この前の週末にみんなで夕飯を食べ終わった後、「夕食の片付けの担当を決めようよ。」と提案してみた。
「おぉっ。いいね~。」と一番何もしない美姫さんが、言った。
それに対して何故か、嫌そうな顔をするお父さん。
「じゃあ、美姫さんから決めようか。」と僕。
「じゃぁね、BGM担当で。」と美姫さん。
夕食後の片付けにBGMって?と思い「何?BGM担当って。」と僕が聞くと
「お店とかにも流れてるでしょ。BGM。仕事をするのにあった方が楽しいじゃん。」と美姫さんが言った。
「……よくわからないけど、まぁ、やってみるのもいいかもね。でも、美姫さんが歌うの?」と僕が聞くと
「それは、始まってからのお楽しみ。最新を流しますからね~。」と美姫さんが不敵な笑みを浮かべた。
僕は、テーブルからお皿をシンクに下げる担当とテーブルを拭く担当。
お父さんは、お皿を洗う担当。
「これで、良かったの?」と僕はお父さんに聞く。
だって、いつもとそんなに変わらない。
「ショウ。ありがとな。でも、これがいいんだよ。」とお父さんは、微笑んだ。
まぁ、何かするって言うだけでいいのかもしれない。と僕は思った。
僕がお皿をシンクに下げていく。
それをお父さんが洗う。
美姫さんは?と美姫さんを見るといつものようにソファーにゴロッとなっている。
「美姫さん、BGMは?」と僕が言うと
「はいはーい。今からBGM流しますね~。では、最新の私の寝息をお聞きください。」と美姫さんは言い、寝た。
………僕とお父さんは思わず目が合い、苦笑する。
後からお父さんに聞いたら、美姫さんは手が荒れるのと、お皿をガシャガシャいわせて洗ったり、さげたりするから、お父さんとしては美姫さんには、何にもして欲しくなかったらしい。
テーブル拭くのも、テーブルを拭くのでは無く、ゴミを下に落とす感じで拭くらしく、二度手間だからやらせたくないとの事。
美姫さん、ホント、うちのBGM担当だね〜。
おしまい