第196話 建前vs本音
「ショウ。あのね、人って言うものは【本音】と【建前】を使い分けている生き物なんだよ。」と唐突に美姫さんが言う。
【本音】と【建前】を使い分けている生き物ってどんな生き物なんだよ。
って僕は思う。動物だって【本音】と【建前】を使い分けてると思うと思うんだけど。ほら、『知らぬふりしてパクリ』は絶対に“食べたい”って【本音】と“俺、お前に興味ない”って【建前】を分けて食料を取ってると思っているんだ。
「で?」と僕が言うと
「ではいきま~す。【本音】と【建前】ゲーム」と美姫さんが言いだした。
また、意味が分からないゲームが始まった。
「どんなゲーム?」と僕は聞いてみる。
「私が言った言葉が【本音】か【建前】かを当てるゲームです。」と美姫さん。
まず、美姫さんが【建前】って言えるの?【本音】で生きてる生き物なのに。
「あぁ~。今日はいい天気。」と美姫さん。
はぁ?外、雨が降っていますけど………。
「【建前】」と僕が言うと
「ピンポーン!」と美姫さん。
そんなの幼稚園児でも分かるわ。
「ショウってさ、イケて無いよね。」と美姫さん。
はぁ?なんだそれ。
「【本音】」と僕が言う
「ブブブー。【建前】でした。私がショウがイケてないなんて言うわけないじゃん。」と美姫さんはすこしムスッとした様子。
分かってる。分かっているけど……ね。
「私は眠ーい。」と美姫さん。
「【本音】」と僕が言う。
「おぉっ。ピンポーンです。」と美姫さん。
そして「ショウ、流石だね。」と続け「じゃぁ、もう飽きたから寝るね。ショウは【本音】と【建前】の違いの分かる男だね。」と言い、寝た。
僕は、お母さんから人生に大切な事を教えてもらった【建前】。
おしまい