短編小説 ありのママ

あなたは今、どの時期ですか?

第227話 美姫さんvsツンデレ

「ショウ。今日、学校どうだった?」学校から帰ってきておやつを食べていた僕に美姫さんが聞く。

「ふつう。」僕は答える。

すると、ソファーにドカッとしていた美姫さんが立ち上がり、リビングに掛けてあったカレンダーに“ツン”と書いた。

その様子を僕は横目でみる。ほぼ、興味はない。

ー次の日

帰ってきておやつを食べていた僕に美姫さんが聞く。

「ショウ。今日は学校どうだった?」と。

「ふつー。」と僕は答える。

すると、美姫さんはソファーから立ち上がりカレンダーに“ツン”と書いた。

……どこかで見た光景だ。うん、でもまぁいい。

僕は、そのままおやつの続きを食べる。

ー次の日

「ショウ。今日は学校どうだった?」と美姫さんが、学校から帰ってきた僕に聞く。。

「ふつう。」僕は答える。

美姫さんがカレンダーに“ツン”と書く。
よく見ると、昨日もその前も“ツン”って書いてある。そういえば、ここ毎日、学校の様子を聞かれてたっけ

それからも学校から帰ってきた僕に美姫さんは「学校、どうだった?」と聞いてきた。

そしてカレンダーには“ツン”の文字が増えていった。

お父さんが、カレンダーを次の月にしようといた時、美姫さんが「こうちゃん、ちょっと待って、今、バランスの調査中なんだよ。」と言った。

「バランスの調査中?」お父さんが不思議な顔をする。

「そう、バランスの調査中。人ってバランスが大切でしょ。ショウの“ツン”と“デレ”もバランスだと思うんだ。今月は“ツン”ばっかりだったから、来月は“デレ”ばっかりだろうなぁって。」と美姫さんは言った。

はぁ?一生“ツン”だよ。美姫さんは何を言っているんだろう。

「美姫さん、ショウの“ツン”と“デレ”は、回数じゃなくて密度だと思うな。ショウの小さい頃の“デレ”は格別だっただろう。あの“デレ”を味わったんだから、“ツン”の時期は長く続くとおもうよ。」とお父さん。

お父さん。ナイスじゃん。

そしてお父さんは「子どもに“ツン”と“デレ”をバランスよくって言うのは、酷じゃないか?だって、ショウは“ツン”でも“デレ”でもどちらでもとってもかわいいじゃないか。」と言ってニッコリとし、「僕で試してみたらどうだい?」と言った。

しばらく、口をとがらせて考える美姫さん。
「ショウが可愛いのは認める。たしかに、ショウは“ツン”でも“デレ”でも問題なしだよ。まぁ、仕方ないからこうちゃんの“ツン”と“デレ”でいいや。」と少し残念そうな美姫さん。

それとは、裏腹になぜか嬉しそうなお父さん。

なんか、楽しい事が起こりそうな気がしてきた。

それから、美姫さんはお父さんに毎日「会社どうだった?」と聞く様になった。

するとお父さん毎日満面の笑みで『今日、一日会社で何をしたかを』事細かに話し始めた。

お父さんの話を日に日に憂鬱そうな顔で聞いている美姫さんは、カレンダーにしぶしぶ“デレ”と書いていた。

1か月も過ぎた頃、美姫さんが「こうちゃん、そろそろ“ツン”時期に入ってくれない?」とお父さんに言い出した。

「ぼくの“バランス”はぶっ壊れ中」とひと言お父さん。

その日を境に美姫さんは、“ツンデレ”の調査を辞めた。

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