企画

#3000文字チャレンジ

そしてUDON.になる。

むかしむかしのお話。

スコットランドのフォン・ブイエンという泉の近くに【ストラスアイラ】というウィスキーの蒸留所があった。

その泉には、ウマに似た妖精【ケルピー】が住んでおり、度々人を襲い、人肉を好んで食べていたそうな。

【ストラスアイラ】はその曰く付きの泉の水使われている事からその泉の水の味が隠し味となっていると昔から伝えられてきたそうだ。

それから現代………20××年 〇月

某国の諜報機関には4人のエージェントがいた。

まずは、エージェントM。彼は、行動派。いかなるミッションも早々に次々とこなす。

次にエージェントk。彼は、接待部長。酒の席では口を滑らせるものも多い。彼は接待で、他国からの情報を得ていた。

それからエージェントJ。語学が堪能で、知識人。他国にさりげなく潜り込むのが彼の得意技だ。某国の諜報機関のエリートでもあった。

最後にエージェントF。最近入隊してきた新人だ。能力は不明。

某国にひとつのミッションが与えられた。

エージェントMは、今回のミッションも「無理かな?難しいなぁ~。」と言いながらも、早々に準備をし、涼しい顔で済ませる様子を見せていた。いかなるミッションも彼の手に係ればお手の物だ。

エージェントkは、今回のミッションには乗り気だった。なにかの勝算があったのだろう。あとは、ミッションをやれるか気力との勝負だった。アルコールの差し入れでもあったら、彼の気力は満タンになるだろう。

エージェントJは、全く乗り気では無かった。

エージェントkとエージェントFは、エージェントJの姿を見て、これではいけないと思った。それぞれ単独でミッションを成功させるとも言えども、某国の諜報機関としての士気を高めるためには、エージェントJにもやる気になってもらわないといけない。それにエージェントJは、機密情報を司るエリートだ。やる気が無くては、他国からの失笑の的になる。

エージェントkとエージェントFは、エージェントJのやる気スイッチを入れるだけでは全く足りないと感じ、エージェントJのやる気に火を付けることにした。

エージェントkとエージェントFは、それぞれ個別に火をつけた。

火が二つで、炎。火よりも強い。

それは、エージェントJのやる気に火ではなく、炎がついた。

炎の付いたエージェントJは誰も止められない。炎は、どんどんエージェントJのやる気を上昇させた。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ~。」エージェントJが燃え上がる。

しかし、強すぎる思いは時として行き過ぎる結果になる事がある事を貴方は知っているだろうか。

エージェントJは、ついに全身真っ白になった。そう、強すぎる炎は全身の色という色を消したのである。

これを見たエージェントFは、焦った。エージェントFはエージェント界きっての地黒だったのである。これ以上、色白のエージェントを増やしてはいけない。それは、エージェントFの心からの願いでもあった。

「立て、立つんだ。エージェントJ。」エージェントFは、思わず叫んだ。力の限り叫んだ。

しかし、その言葉もむなしく、エージェントJは、パラパラパラと真っ白な灰になってしまった。

こんもりとした白い灰になったのである。

エージェントFは、驚いた。

エージェントFは、まずはエージェントJを散らして冬ソナ遊びをしようかと考えた。ヨン様が舞う雪の中で立っている姿を真似る遊びである。

キラキラした中に立つヨン様。誰もが憧れたシーンである。

「でも、何か違うんだよなぁ。」エージェントFは、納得がいかず首をかしげる。

「白い灰…白い灰……あっ、白い粉。」

エージェントFは、何かを閃いたのかググり始めた。

そして何故か、ニッコリと微笑んだ。

「さすが、エリートは違うな。そうそう、今、小麦粉って手に入らないんだよね。エージェントJ、貴方の想いは私がしっかりと受け取ったからね。燃え尽きてなお、エージェントの心は忘れないか……。」エージェントFがつぶやく。

エージェントFの中のナニカが発動した瞬間でもあった。

エージェントFは、手順に従い、まずは塩水を作った。

エージェントFは、何故か水に想いを馳せた。目を閉じると綺麗な泉が見える。心の中に懐かしさを感じる。

エージェントFは、懐かしさも相成ってルンルン気分で塩水を作った。

次に灰になったエージェントJをボールに入れた。

ここで、エージェントFにエージェントJとの楽しかった日々がよみがえってきた。

―― 色んな他国の音楽を教えてもらったな。

ボールに入ったエージェントJに先ほどの塩水をかけていく。

ゆっくりとゆっくりと丁寧に。塊が出来ない様に。

―― エージェントJに20年ぐらい早くに出会っていれば、私の頭もよくなっていたかもな。

そんな思いが込み上げる。

エージェントJに海水をまんべんなくかけたら、今度はエージェントJを優しく混ぜていく。そぼろ状になるまで。

―― 美女と野獣、アニメ版も実写版も観ているのにフランスの話だなんて初耳だったな。でも、何でベルの言葉は英語だったんだろう。

フランス……その国の雰囲気は、エージェントFにとって何故か懐かしさを覚えるものだった。

そぼろ状になったエージェントJを綺麗に丸め、寝かせる。

「美味しくなぁれ。美味しくなぁれ。」

エージェントFは、つい出た自分の言葉にビックリする。

「仲間に何という事を言ってしまったんだろう……。」エージェントFは、猛省する。

これではいけないと、寝かせたエージェントJを起こそうと袋に包み、足で踏む。

「起きて!起きて!」エージェントFは、呼びかける。

足でドンドン踏みながら呼びかける。

しかし、エージェントJの声は聞こえない。

仕方がないので、エージェントJを5㎜幅の細長い形に綺麗に整えてあげることにした。

包丁で真っ直ぐにトントントンと切りながらエージェントJとの思い出がまたよみがえる。

―― 娘さんへの垣間見える愛情……いつもホッコリしたな。

そんな事を考えながら、大きな鍋にたっぷりのお湯を沸かし、細長くなったエージェントJに付いた粉を綺麗に落とす。

その時だった。

グググググ―ッ。

エージェントFのお腹が豪快に鳴る。

「わぁお。美味しそうなUDON.麺の完成だ~。さすが~やれば出来る子。」自画自賛するエージェントF。

エージェントFは、かつお出汁の効いた汁の中に粉の綺麗にとれたエージェントJを入れる。

「あっ、ネギもちらさなきゃ~。ナルトも冷蔵庫にあったっけ。」エージェントFは、かつお出汁に浸かっているエージェントJに装飾をする。

「これ、サイコーじゃん。めちゃ美味しそう。いただきまーす。」

エージェントFは、満面の笑みを浮かべる。

そこには、人ではなくウマが一頭いた。

そう、エージェントF。別の名をケルピーと言う。

人肉の大好きな妖精だ。

―5分後

ウマの姿をした妖精ケルピーが、満面の笑みを浮かべて倒れていた。

その近くの机の上で整えられた5㎜幅の細い棒状のものがムクムクムクと塊になり、それがたちまち人型となり立ち上がった。

「フフフ。作戦成功だ。」そこには、不敵に笑うエージェントJの姿があった。

彼は、小麦粉ではなくチョークの粉になったのだ。

彼を小麦粉と勘違いしたエージェントFに扮したケルピーは、それでUDUN.を作り、食し、息絶えたのである。

こうして某国の平和は守られた。

ありがとうエージェントJ。

おしまい

参考文献

★ barこてっちゃん
【ウイスキー】恐ろしい隠し味!ストラスアイラ【スペイサイド】

★Twitter
 うどんの話

※この話はフィクションです。マナビヤさん・こてっちゃんさん・塾パパさんよりアイデア提供をいただき完成しました。

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