見えているモノは何ですか?!

短編小説:ありのママ第166話

美姫さんvs忘れ物?

 

今回の登場人物紹介

ショウ:小学六年生の男の子
美姫さん:ショウくんの母親
お父さん(こうちゃん):ショウくんの父親
※美姫さんとお父さんとは小・中同卒生

 

夕飯を3人で食べている時の事。

ふと、僕は今日忘れ物をした事を思い出した。

「今日さ、忘れ物しちゃって…。」と僕がいうと

「ほら、朝バタバタ準備するからだよ。ちゃんと余裕をもって確認しないとな」とお父さんが言う。

 

「うん。気をつけるよ」と僕。

 

「ショウ。人は忘れられるから生きていけるんだよ。だから、気にしなくても大丈夫。」と美姫さん。

 

僕の箸が止まる。

えっ?忘れ物はいけないんじゃないの?

 

「美姫さん、美姫さんが言ってるのは事柄。ショウが忘れたのは物。事柄は忘れてもいいかもしれないけど、物を忘れるのはなぁ。」とお父さん。

 

「そっか、物か……。ショウは忘れ物にいつ気付いたの?」と美姫さん。

「朝、学校に着いた時」と僕がいうと

「じゃぁ、セーフじゃん。自分で思い出したんでしょう。」と美姫さんはニッコリ。

 

僕の箸がまた止まる。

 

「家に忘れたんだからアウトだよ」と僕がいうと

「いや、思い出せたんだから、セーフ。認知になるとね、思い出せないんだから。」と美姫さんはニコリとする。

 

ナイス解釈!!

じゃないよ〜。ひとりで自分の思いにつっこむ。

 

「美姫さんは、忘れ物をした事がある?」と僕が聞くと

「忘れ物は、ほとんどない。」と言い切る美姫さん。

 

何げに凄いじゃんと感心していると

 

「美姫さんの場合は、忘れ物じゃなくて知らない物だろう。毎朝、宿題をしてきてない人達に『斎藤さん、宿題した?』って聞かれてたでしょ。みんな〝斎藤は宿題の存在を知らないから宿題は絶対にしてない〟って言ってたよ。」とお父さん。

 

「そうそう、宿題が出ているのを私だけが知らないんだよね。それでさ、先生に呼ばれて『キミは忘れ物が多いからメモをしなさい』って言われたのよ。言われた通りにメモ帳買ったんだけど、書く事が無いんだよね。」と美姫さん。

 

「メモを取らなくても、忘れ物が無くなったの?」と僕が聞くと

 

「いや、そもそも、先生の話を聞いてない。だから、書けるわけが無い。大人ってさ、想像力が小さいんだよね。根本を改善しないと問題は解決しないって事。根本がわかってない。」と美姫さん。

 

「いやいや、美姫さんが聞いてないのが悪いんでしょ。」と僕が言うと

 

「ショウ。今の流行りは【責任転嫁】なんだよ」と美姫さん。

 

……流行ってませんからね。いけない事は真似ては駄目ですよ。

 

 

おしまい

 

 

 

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