【スポンサーリンク】

短編小説:よろず屋美姫、今日も働く?!

よろず屋美姫、今日も働く?!

 

学校から家に帰ると美姫さんが「ショウ、樋口先生のクラスって今大変なの?」と美姫さんが聞いてきた。

「あぁ、樋口先生ね。そうだね。大変そうだよ。」と僕。

 

樋口先生と言うのは僕の去年の担任の先生で、今は4年生の担任をしている。美姫さんが大変なのって言ったのは、樋口先生のクラスにやんちゃな子達がいるらしく、授業中も騒いでいるって事。樋口先生が元気が無くなってきているという事。たまに先生が休んでいるという事。

 

「でも、何で?」と僕が聞くと「樋口先生ね、クラスのお母さん達から責められているらしいよ。」と美姫さん。

 

「なんで、樋口先生が責められないといけないの?」と僕が聞くと「今流行りの『モンスタークレーマー』みたいだよ。子どもたちが落ち着かないのは、担任のせいだって『担任を辞めさせろ』って言われているみたい。」と美姫さん。

 

「えっ?。樋口先生、とっても良い先生だったよ。僕は好きだったなあ。」と僕が言うと「そうだよね。樋口先生が学校を辞めるのはスジ違いだと思わない?」と美姫さんが言う。

 

「その話、樋口先生のクラスの子が悪いんだと思う。だって、授業中にウロウロしてるんだよ。」と僕が言うと「そうだよね。そのクラスの子が悪いのに、先生に罪を擦り付けるのはスジ違いじゃない?」と美姫さん。

 

「そうだよ。先生が辞める必要がないんだよ。」と僕は言う。スジ違いだよ。ちょっと怒りの感情が高ぶってくる。

 

「でもさ、学校内部の話だから、私が口出しできないじゃん。ショウなら、その子に注意出来る?」と美姫さんが僕に聞く「そんなの簡単だよ。明日にでも注意する。」と僕。

 

「じゃぁ、先生が辞めてもらわないようにするにはほかにどんなことをした方がいいかな?」と美姫さん。

 

「うーん?。校長先生とかに樋口先生の良さを言いに行く。」と僕が言うと「校長先生だけじゃ弱くない?現に今だって、校長先生知っているのに何もしてくれないじゃない。」と美姫さん。

 

他に…ほかに…。僕が考えていると「新聞に投稿してみたら?先生はいい先生だって。世論を味方にするの。」と美姫さん。

 

「それいいアイデアだね。書いてみる。あと、みんなにも書いてもらう。」と僕。

 

僕は、樋口先生が学校を辞めなくていいように、樋口先生のクラスの子どもたちに話をしたり、校長先生に話をしにいったり、新聞社やラジオに先生との楽しい思い出を書いたものを投稿した。

 

僕たちが“良い先生”と発信する事によって、『モンスタークレーマー』達も先生に文句が言いづらい雰囲気になってきた。親が大人しくなると子ども達も静かになってきた。

 

樋口先生の顔が明るくなってきて、学校を休む事もなくなってきた。

 

自分たちが行動したことが、身を結んだ気がしてきてとても嬉しい気持ちだった。

 

それからしばらくして、僕はおじいちゃんの家に遊びに行った。

「ショウ。美姫さん、仕事始めたんだって。美姫さんの仕事で先生が学校を辞めずに済んだんだよ。」とおじいちゃん。

 

先生が辞める?美姫さんの仕事?

 

「それって、もしかして樋口先生の事?」と僕が聞くと「そうそう。樋口先生の事。ちょっと依頼料は高かったけど、そんだけ価値がある事だったよ。」とおじいちゃん。

 

依頼料?

 

「ん?おじいちゃん、美姫さんにお金を払ったの?」と僕が聞くと「5万円のところを3万円に負けてくれたんだ。身内価格って言ってな。」とおじいちゃん。

 

僕は家に帰って美姫さんに「美姫さん、おじいちゃんからの依頼でよろず屋の仕事をしたの?」と僕が言うと「あー。バレた?」と美姫さん。そして「ゲームのカセット買ってあげるから、こうちゃんと康夫くんには内緒ね。」と言った。

 

僕は、ゲームのカセットで買収された。ん?よく考えてみると、その仕事って僕がした仕事だよね。ん?康夫さんを通さない?それって今流行りの…。

 

おしまい