第172話 お兄ちゃんの副業
学校が終わって家に帰るとお兄ちゃんが遊びに来ていた。
「ショウ。おかえり。」と美姫さん。
「あっ、ただいま。お兄ちゃん。どうしたの?」と僕。
お兄ちゃんがパソコンに向かって何やらしていたからだ。
「おう。ショウおかえり。あのな、兄ちゃんは副業でYouTuberになろうと思ってな。ショウも手伝ってくれるか?」とお兄ちゃん。
副業でYouTuber?
「お兄ちゃん、就職決まったの?」と僕が言うと
「それが、なかなか難しい。」とお兄ちゃん。
「ユウはね、本業が無職で副業がYouTuberらしいよ。毎日、ユウが見れる~と思ったら、ユウは出演しないらしいよ。」と残念そうな美姫さん。
へぇ~。自分は出ないんだね。
「で、お兄ちゃんは何をYouTubeでするの?」と僕が聞くと
「それがな。良いプランをかんがえたんだよ。聞いてくれるか?」とお兄ちゃん。
「えっ。どんな感じなの?」僕はワクワクする。
「24時間動画を流しっぱなしにしようと思ってな。」とお兄ちゃん。
「24時間も流すの?すごいね。でも、お兄ちゃん、いつ寝るの?」と僕が聞くと
「夜中の12時から朝の6時までは、兄ちゃんが寝る時間だから、天気予報を流そうと思ってる。」とお兄ちゃん。
ん?天気予報?
「それからな。毎日、兄ちゃんのオススメ番組をアップしようと思ってる。」とお兄ちゃん。
ん?オススメ番組?
「あのさ、天気予報を流すってお兄ちゃんって天気予報士の資格とか持ってるの?」と僕が聞くと
「いや。気象庁のホームページをそのまま流す。」とお兄ちゃん。
それって……。
「じゃぁ、オススメ番組ってのは?お兄ちゃんが作るの?」と僕が聞くと
「いや。テレビのオススメ番組を流すんだよ。」とお兄ちゃん。
それって……。
「お兄ちゃん、テレビ番組を流すのは違法なんだよ。」と僕が言うと
「じゃぁ、出血大サービスで、全局一斉に流すってのは?」とお兄ちゃん。
「ひとつの画面で全部のテレビが見れるんだね~。お得感満載。」と美姫さん。
絶対にしちゃダメなうえに、そんな一辺にテレビなんか流したら、何の情報も入ってこないじゃん。
おしまい
※この短編小説ありのママは、ほぼフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。リッピングは、違法です。